ユングフラウヨッホ
スイスで1、2位を争う、人気の観光地ユングフラウヨッホ。
鉄道で行ける、標高3,571mの大氷河は、ぜひとも訪れたいところです。
今日は、ユングフラウヨッホのスフィンクス展望台とセットで行ける、初級向けのハイキングコースを紹介します。
このハイキングコースは、ユングフラウヨッホの帰り道にも立ち寄りやすい、絶妙のロケーションです。
ハイキングコースの場所・特徴
ハイキングコースはこちらです。
ハイキングは、ユングフラウ鉄道がアイガートンネルに入る直前の駅、アイガーグレッチャーからスタート。
ゴールは、1つ隣のユングフラウ鉄道の始発駅、クライネシャイデックです。
ユングフラウヨッホの帰り道、アイガーグレッチャーで下車して、クライネシャイデックまで歩く、というコースです。
コースは最初から最後まで、緩やかな下り坂。
かなりゆっくり歩いても、所要時間は1時間位です。
コースの大半は小粒の砂利道で、とても歩きやすいコースです。
雑誌などの、スイスのハイキングコースの紹介では、『初級者向け』と謳われているコースでも、実際歩いてみると結構キツイ、といった経験があります。
しかし、このコースは本当に初級者向けです。
キツイと感じる場所は1ヶ所もありませんでした。
コースの見どころ
このコースの見どころ、それはスタートからゴールまで全てです(笑)。
スタートからゴールまで360度、フォトジェニックな、アルプスの絶景が広がります。
アルプスの山々と、コース沿いに咲き乱れる花。
加えて、このコースはユングフラウ鉄道の線路沿いに位置します。
アルプスの絶景の中を、ユングフラウ鉄道が走る、素敵なカットに出会える撮影スポットを2ヶ所、ご紹介します。
アイガーグレッチャー駅
アイガーグレッチャー駅は2020年、アイガーエクスプレスの開通とともに、リニューアルされました。
アイガーグレッチャー駅には、線路を挟んで、クライネシャイディック行きのホームと、ユングフラウヨッホ行きのホームがあります。
駅には何ヶ所か、出口がありますが、ユングフラウヨッホ行きのホームの2階の出口から外へ出ましょう。
出口を出て、アイガーグレッチャー駅を振り返り、こちらの出口であれば正解です。
では早速、クライネシャイディックに向けて、ハイキングを始めましょう。
アイガーグレッチャー駅の出口を背に、やや左方向にカーブしながら、コースは下っていきます。
コースの先に小さく見える、山小屋風の建物を目印に進みましょう。
スタートしてすぐ、左後方を振り返ってみましょう。
アイガー氷河が、眼前に迫ります。
大迫力の氷河を、ここまで間近で見る事ができるのも、このコースの醍醐味の一つです。
コース右手の景色も見てみましょう。
エメラルドグリーンの湖は、ファルボーデン湖。冬場に雪不足となった場合の、スキー場用の人工降雪用水池です。
ファルボーデン湖の後ろには、このハイキングコースのゴール、クライネシャイデック駅が小さく見えます。
左手にアイガー氷河、右手に牧草地。
全く異なる表情のアルプスの絶景を左右に眺めながら、歩きやすい、緩やかな下り坂を進みます。
そしてこの付近、足元にも絶景が広がります。
コースの左側は、一面の黄色い絨毯。
黄色い花は、キンポウゲ科のトロリウス・エウロパエウスの花です。
見頃は7月から8月。初夏のアルプスに、彩りを添えます。
ここは標高2,300m、日差しは強くても、空気はヒンヤリ。絶景と快適な気温に、気分も爽やかです。
旧ミッテルレギ小屋
こちらは、旧ミッテルレギ小屋です。
もともとは、アイガーのミッテルレギ稜に建っていました。
旧ミッテルレギ小屋は、日本人登山、槇 有恒さんが、アイガー登頂に感謝して1万フランを寄付し、寄付金をもとに、1924年、アイガーミッテルレギ稜に建築されました。
その後、2001年、アイガーに現在の新しいミッテルレギ小屋が建築された際に、旧ミッテルレギ小屋はこちらの場所に移築されました。
小屋の左手は、白く輝く、シルバーホルン。
ここではぜひ、小屋の裏側に回ってみて下さい。
右手側には、クライネシャイデックからヴェンゲンに続くハイキングコース。
そして、正面には。
どこまでも続く、アルプスの大パノラマ。
ラウターブルネンの谷の向こうの山肌に、ミューレンの街が見えます。
さらに、その背後には、残雪を戴く、シルトホルンまで見渡せます。
見渡す限り、アルプスの山々が続く絶景です。
ユングフラウ鉄道
旧ミッテルレギ小屋をすぎると、コースは九十九折りの下り坂となります。
正面にファルボーデン湖が見えてきました。
この付近は、若干、角度のある下り坂になっています。砂利道で滑らないよう、足元に気を付けましょう。
遠くのアルプスの山々と、足元の花々を眺めながら、坂道を下って行きます。
坂を下り切ると、コースは前方と左側に分かれます。
まっすぐ進むと、トンネルをくぐり、ファルボーデン湖に出ますが、今日は、あえて左側の道を進みます。
どちらの道もこの先で合流して、クライネシャイデックへ通じています。
あえて、左側に進んだ理由はこちら。
コースの右側、すぐそばをユングフラウ鉄道が通ります。
雪山、青空、草原、ユングフラウ鉄道が、絶妙のコントラストを作り出し、このコースを唯一無二のものとしています。
クライネシャイデック
さらに先へと進みましょう。
線路を渡り、ファルボーデン湖からの道と合流します。
スイスではおなじみのラック式レール。
2本のレールの真ん中の、歯車になったレールが、車両の歯車とかみ合い、急こう配を登って行きます。
この先、クライネシャイデックまでは、緩やかな下り坂の一本道。
しばらく歩くと、ゴールのクライネシャイデック駅が見えてきました。
あと少し、坂を下れば、クライネシャイディック駅に到着です。
ここでは、コースの左側を、ユングフラウ鉄道の線路が通っています。
そしてここは、クライネシャイデックを出発した、ユングフラウ鉄道が、ユングフラウへと登って行く絶景ポイントです。
ユングフラウヨッホのパンフレット等にもよく使われる景色ですね。
コースを彩る花々
ハイキングコースの左右には、色とりどりの草花が咲き乱れます。
黄色、青、紫、白。
アルプスの絶景とともに、足下の花々も楽しんでみてはいかがでしょうか。
こちらは、キンポウゲ科のトロリウス・エウロパエウス。
黄色いつぼみが、今にも開きそうです。
コース序盤に群生しています。
こちらの紫色の花は、サクラソウの一種です。
こちらの花は、リンドウ。
鮮やかな青色が目を引きます。
西洋タンポポもひっそりと咲いていました。
コースのところどころに、黄色や白い花々が群生しています。
コースを彩る、初夏の花々を紹介しました。
絶景レストラン
スタート地点のアイガーグレッチャー駅と、ゴールのクライネシャイデック駅にレストランがあります。
どちらのレストランからも、ユングフラウの絶景と、美味しいスイス料理が楽しめます。
アイガーグレッチャー駅
アイガーグレッチャー駅のレストランは、クライネシャイデック行き(下り方向)ホームに入口があります。
屋内席を通り抜け、テラス席に出てみましょう。
テラス席からは、目の前にアイガー氷河。
荒々しい。メンヒの岩肌と、氷河を眺めながら食事ができます。
お料理は、スイス料理中心のメニューです。
こちらは、ロシティのラクレットチーズがけ。
こんがり焼かれたジャガイモの上には、濃厚なラクレットチーズ。
こちらは、ソーセージ付きロシティ。
パリパリの焼きジャガイモと、ジューシーなホワイトソーセージに、オニオンソースをかけていただきます。
どの料理も、文句なしに美味しいです。
クライネシャイディック駅
クライネシャイデック駅のレストランは、ユングフラウ鉄道が発着するホームにあります。
ユングフラウヨッホに向け、テラス席の目の前を、30分おきにユングフラウ鉄道が発車して行きます。
こちらは屋内席。壁から天井まで、アルプスの装飾に囲まれています。
テラス席の目の前は、アイガー、メンヒ、ユングフラウ。ユングフラウ三山が一望できます。
歩いてきた、ハイキングコースを眺めながら、絶景に乾杯です。
注意点
実際に歩いて見た経験を踏まえ、最後に、何点か注意点を上げます。
靴
歩きやすいコースですが、若干、角度のある下り坂部分があります。砂利道の下り坂は、前に体重がかかりすぎると、滑りそうになることもありますので、滑らないように気をつけましょう。
スニーカーでも問題ありませんが、トレッキングシューズの方が安心です。
標識
今日ご紹介したハイキングコースの名前は『Jungfrau Eiger Walk』です。
コースには、至る所にご覧のような標識があります。
日本の旅行誌の情報とコースが相違する場合がよくありますが、経験上、現地の標識が一番正しい印象です。
人通りもあるコースですので、迷ったら遠慮せずに、クライネシャイデックまでの行き方を尋ねましょう。
線路
このハイキングコースは、ユングフラウ鉄道の線路に沿ったコースです。
中には、踏切がないところもあるので、線路を渡る際は要注意。入念に左右を確認しましょう。
特に、見通しの悪い所で線路を渡る際は、電車の音も確認しましょう。
写真撮影の際は、線路に滑り落ちないよう、コースの中から撮影しましょう。
天気
コースの途中、雨風を避けられそうな建造物は、リフト乗り場、旧ミッテルレギ小屋、トンネル位です。事前に天気を確認して、雨具も持参しましょう。
ユングフラウ地方の天候は、こちらのライブカメラで確認できます。
水
コース途中には、売店は一軒もありません。標高が高く、涼しいとはいえ、日差しは強いです。飲み物の持参を忘れず、こまめに水分補給しましょう。
トイレ
スタートのアイガーグレッチャーと、ゴールのクライネシャイデックにはトイレがありますが、途中にはトイレがありません。
それでは、万全の準備で、アルプスのハイキングを楽しみましょう。
これぞアルプス!という絶景が、あなたを出迎えてくれるはずです。
クライネシャイデック周辺でもう一ヶ所、おすすめのハイキングコースがありますので、よろしければご覧下さい。