スイスの都市

【ツェルマット】マッターホルン観光のモデルコース。鉄道で行くゴルナーグラート展望台とおすすめハイキングコース。

マッターホルン

スイスを代表する名峰、マッターホルン。

天に向かって鋭く突き出た独立峰は、連山・山塊を主とするスイスアルプスの中でも特異な存在感を放ちます。

そして、その凛とした容姿は、スイスを旅する人々を魅了し続けます。

今日は、マッターホルンと、その麓の村ツェルマットを旅してみましょう。

ツェルマットへのアクセス

ツェルマットは、スイス南西部、イタリアとの国境付近に位置します。


①ツェルマット
②チューリッヒ
③ジュネーブ

今でこそ、世界的な山岳リゾートとして知られますが、19世紀中ごろまでは、近隣の村との往来もほとんどない、酪農地帯でした。

1865年のマッターホルン初登頂を契機に、観光地としての開発が進みました。

ツェルマットへは、スイス各地から鉄道でアクセスできます。

環境保護のため、村の中はガソリン車乗り入れ禁止です。

《スイス各地からのアクセス》

出発地 所要時間 料金(2等)
チューリッヒ 3時間12分 125 CHF
ジュネーブ 3時間32分 98 CHF
グリンデルワルト 2時間56分 94.2 CHF
サンモリッツ(氷河特急) 8時間19分 152 CHF
ルツェルン 3時間14分 117 CHF
ベルン 2時間7分 90 CHF
ローザンヌ 2時間53分 81 CHF
モントルー 2時間31分 74 CHF

[最新料金確認日:2023年9月]

サンモリッツからは、有名な観光列車“氷河特急”でもアクセスできます。

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マッターホルン観光のモデルコース

ツェルマットを目指す旅人の一番の目的は、名峰マッターホルン。

ツェルマットには、マッターホルンを様々な角度から楽しめる展望台、観光スポットがいくつもあります。

なかでも、おすすめのモデルコースを紹介します。

マッターホルン観光のモデルコース

9:36 ツェルマットを出発
☆ゴルナーグラート鉄道

10:09 ゴルナーグラート駅
☆マッターホルン眺望
☆ゴルナーグラート展望台
☆ゴルナーグラート山頂360°ビュー

12:19 ゴルナーグラート駅出発

12:24 ローテンボーデン駅到着
☆マッターホルンビューのハイキング
☆リッフェルゼーの“逆さマッターホルン”

14:10 リッフェルベルク駅出発
☆ゴルナーグラート鉄道でツェルマットへ

14:39 ツェルマット駅到着

数ある展望台のなかでも人気No1、ゴルナーグラート展望台

ゴルナーグラート鉄道で展望台まで上り、帰り道はハイキングを楽しみます。

ハイキングコースの途中には、湖に映る“逆さマッターホルン”。

モデルコース全体の所要時間は5時間

ツェルマット駅を出発し、ツェルマット駅まで戻ってきます。

では早速、マッターホルンを目指して、ツェルマット駅を出発しましょう。

①登山鉄道で展望台へ
②展望台からマッターホルンを眺望
③マッターホルンを眺めながらのハイキング
④逆さマッターホルンを撮影

ゴルナーグラート鉄道

ゴルナーグラート鉄道に乗車し、麓のツェルマットから、展望台のあるゴルナーグラートを目指します。

ゴルナーグラート鉄道の乗り場[Zermatt GGB]は、ツェルマット駅の目の前です。

まずは駅舎でチケットを購入しましょう。

ゴルナーグラート展望台まで片道55CHFです。1等、2等の区別はなく、ワンクラスの運行です。

スイストラベルパス、スイスハーフフェアカードを所持していれば、半額で購入できます。忘れずにパスを提示しましょう。

帰りはハイキングを楽しみます。ここでは、往復ではなく、片道の切符を購入しましょう。

車両に乗り込む際は、進行方向右側の座席がおすすめです。終始右側の車窓にマッターホルンが現れます。

出発してすぐ、車輪とラック式レールが噛み合う音とともに、列車はぐんぐんと高度を上げて行きます。

マッターホルンを背景に、ツェルマットの街が眼下へと遠ざかってゆきます。

ゴルナーグラート鉄道の車窓から

出発地ツェルマットの標高は1,620m。
終点ゴルナーグラート駅の標高は3,089m。

列車は、わずか38分で標高差約1,500mを力強く駆け登ります。

ゴルナーグラート鉄道の車窓から

麓のツェルマットからは、頂上部分だけが見えていたマッターホルン。

列車の高度が上がるとともに、マッターホルンがその全容を現します。

ゴルナーグラート鉄道の車窓から

ゴルナーグラート駅が近づくころには、左右に並ぶ山のない、万年雪をまとった独立峰が姿を現します。

間もなく、終点のゴルナーグラートに到着です。

鉄道は24分間隔で運行されています。




ゴルナーグラート展望台と絶景の山頂

ゴルナーグラート駅に到着しました。
駅を出て、目の前の広場へ進んでみましょう。

まず視界に飛び込んでくるのがマッターホルン。

天に向かってそびえるマッターホルンを、雲一つない青空が引き立てます。

ゴルナーグラート駅前より

展望台から仰ぐ青空は、下界で見るそれよりも、遥かに濃い青色です。

青空の向こうに、漆黒の宇宙が広がっていることを感じさせる程に、濃く深い青色の空。

紺碧の空を、鋭く突くように、マッターホルンがそびえます。

美しい山容にしばらく見とれてしまいます。

ガタン、ゴトン、レールの軋む音に視線を下ろすと、マッターホルンの前を、ゴルナーグラート鉄道が上ってきました。

ここは標高3,089m。
富士山の7~8合目付近と同じ標高です。

八ヶ岳や剣岳の山頂よりも高いところまで鉄道でアクセスできるのも、スイス旅行の醍醐味です。

ゴルナーグラート駅の背後には、ゴルナーグラート展望台が建っています。

展望台の中にはレストラン、お土産屋さん、チョコレートショップもあります。

展望台のうしろの坂道を上り、ゴルナーグラートの頂上部分へ向かいましょう。

緩やかな坂道を、ほんの数分、上ります。

ゴルナーグラートの頂上は広場になっていて、360度、遮るもののないアルプスのパノラマが広がります。

ゴルナーグラート展望台とマッターホルン

西側には、ゴルナーグラート展望台越しに、マッターホルンがそびえます。

ゴルナー氷河

南東方向には、ゴルナー氷河が流れます。

ゴルナー氷河の上流、向かって左側の岩と雪の塊のような山はモンテローザ

モンテローザ

標高4,634mのモンテローザは、スイスで一番高い山です。

ゴルナーグラート山頂、北側の景色

北側には、どこまでも山々が折り重なる景色が広がります。

遠く、ベルナーオーバーラントまで、アルプスの名峰が連なります。




おすすめハイキングコース

帰りは、一部の区間、ハイキングをしてみましょう。


ゴルナーグラートから鉄道に乗車し、1駅目のローテンボーデン駅で下車。
ローテンボーデン駅から、1駅先のリッフェルベルク駅までハイキング。
リッフェルベルク駅から、ツェルマットまで鉄道で戻ります。

ハイキングコースのMAPはこちらです。

コースは全般に緩やかな下り坂

足元は、踏み固められたダートのコースです。

かなりゆっくり歩いて、所要時間は1時間30分程度。

ゴールのリッフェルベルク駅にはホテルやレストランもあります。

ハイキングコースからは様々な角度からマッターホルンが見えます。

ハイキングコースから見たマッターホルン

見る角度によって変わる、マッターホルンの表情。

マッターホルンに見入ることしばしば。ハイキングの歩みも自然と遅くなります。

ハイキングコースの道端には、所々に高山植物も咲いています。

花の数は多くはありませんが、高原のハイキングに彩りを添えます。

このあたりの標高は2,800m。真夏でも涼やかな気温の中、快適なハイキングになること、間違いありません。

そして、コース一番の見どころは、湖に映る逆さマッターホルンです。

逆さマッターホルン

ハイキングコース序盤、コース眼下に湖が見えてきました。

リッフェルゼーです。

湖面にはマッターホルンが映ります。

ハイキングコースを少し外れて、湖のほとりまで下りてみましょう。

湖まで一歩づつ坂道を下ります。

リッフェルゼーの湖畔に到着しました。

湖畔には、マッターホルンが逆さに映りこむ絶景が待っていました。

威風堂々と佇むマッターホルン。その偉容が湖面にもはっきりと映ります。

曇りの日、マッターホルンは雲間に隠れ、その姿を現しません。

また、晴れていても風があると、湖面が波立ち、湖にマッターホルンが映りこみません。

天気、風、すべての条件が揃った時にだけ出会える、奇跡の絶景です。

いくら眺めても飽くことのない絶景と別れ、リッフェルゼーを後にします。

ハイキングコースの遥か彼方に見えるのは、ベルナーオーバーラントの山々。

どこまでも続くかのようなハイキングコースを、ゴールのリッフェルベルクに向けて歩きます。

ツェルマットの街歩き

ハイキングコースのゴール、リッフェルベルクからは、再びゴルナーグラート鉄道に乗車して、ツェルマットまで戻ります。

ツェルマットの街を散策してみましょう。

街中は教会、広場、公園が点在する、のどかな山岳リゾートの風景です。

そして、どこにいても、遠くにそびえるマッターホルンが望めます。

日本人橋から見たマッターホルン

こちらは、通称“日本人橋”。マッターホルンの撮影スポットです。

ガソリン車乗り入れ禁止のツェルマット。
街中には馬車も走ります。

馬車が通り過ぎると、今度はヤギの行列が目の前を通り過ぎて行きました。

ここは、世界中から旅人が訪れる観光地であり、昔ながらのアルプスの暮らしが息づく村でもあります。

夕暮れ時、民族衣装に身を包んだ方が3名、アルプホルンを演奏していました。

アルプホルンが奏でる調べとともに、山あいの村の一日が幕を閉じます。




どっちがおすすめ?グリンデルワルトとツェルマット

スイス旅行を計画される方の悩み、ツェルマット(マッターホルン)とグリンデルワルト(ユングフラウヨッホ)。

どちらの街、どちらの山もおすすめですが、限られた旅行日数の中で、どちらか一方にしか滞在できないこともあるでしょう。

両方の街に旅行した経験を踏まえ、違いとポイントを説明します。

グリンデルワルト

グリンデルワルトがあるベルナーオーバーラント地方には、ユングフラウ三山(アイガー、メンヒ、ユングフラウ)以外にも、たくさんの観光地があります。

・ユングフラウヨッホ展望台
・シルトホルン展望台
・ミューレンの街歩き
・ラウターブルネンの滝めぐり
・ブリエンツロートホルン鉄道
・トゥーン湖、ブリエンツ湖のクルーズ

また、滞在する街も、たくさんの選択肢があります。

・グリンデルワルト
・ヴェンゲン
・ミューレン
・ラウターブルネン
・インターラーケン

たくさんの観光地があるので、1週間でもすべてを回るのは困難です。

1~2日の滞在では、ユングフラウヨッホは観光できたけど、周りの街にはどこにも行けなかった、となってしまいます。

ツェルマット

一方、ツェルマットは、街一つ、山一つ。

ツェルマットに宿泊し、マッターホルンを観光する、といったイメージです。

もちろん、展望台や、観光スポットはたくさんあります。

・ゴルナーグラート展望台
・スネガパラダイス
・マッターホルングレッシャーパラダイス

しかし、どの展望台・観光スポットに行くのもツェルマットから。

どの展望台からも、見える山はマッターホルン。

見どころがとてもコンパクトにまとまっています。

なので、1~2日の短期滞在でも、ツェルマットの街歩きと、マッターホルン観光を十分に楽しめるでしょう。

まとめ

短期滞在(1~2日)なら、ツェルマットがおすすめ!

長期滞在(1週間)なら、グリンデルワルトがおすすめ!

あくまでも個人的な感想ですが、スイス旅行の計画の参考にして下さい。